'M-1 GLOBAL:FEDOR vs RIZZO
2012/6/21@Ice Palace, St. Petersburg, Russia'ヒョードルが”皇帝”としてMMAの歴史に君臨し、事実上の最強ファイターとして世界中のファンから圧倒的な支持を得ていたことは間違いない。しかし、もはや、ヒョードルが特別独立枠のままでいれる時代ではなくなってしまっていた。しかるべきタイミングはPRIDE終焉後の2007~2008年頃、当時のUFCヘビー級王者・クートゥアとの対戦の機運が高まったとき、ヒョードルが、というよりもヒョードルを取り囲む者たちがUFCを選択していれば、MMAの趨勢は変わっていたかもしれない。
MMAの絶対的権威になったUFCを向こうにまわし、ヒョードルは幻想を背負って孤軍奮闘し続けてきたが、予期せぬ形で躓かせられた。非UFC選手にまさかの三連敗。この時点で残念ながらヒョードルの栄光は過去のものとなり、最強の決定はUFCに委ねられることになった。ヒョードルのタップなんて見たくなかった。ヒョードルが気を失う場面なんて見たくなかった。しかしこれらの敗戦がUFCのオクタゴンの中であれば素直に受け入れることができた。事実上ではなく事実の最強になってほしかった。UFCで王者になることが最強の証になった今、ヒョードルの名がUFCの歴史に刻まれていないことが悔やまれる。三連敗後に三連勝したものの、ロートルや階級違いの新人相手のお披露目マッチ。それでもヒョードルの勇姿を見れただけ嬉しい。強いヒョードルを観て、かつての素晴らしき瞬間の数々を脳裏でプレイバックする。紛れもなくヒョードルは僕らのヒーローだった。秒殺で飾ったペドロ・ヒーゾ戦をもって全39戦のMMAキャリアに幕を閉じるという。現在35歳、本当にここで終えてしまうのか。余生を過ごすのに十分な大金を得ただろう。家族との時間が欲しいことも分かる。母国・ロシアではセレブリティになった。ノー・モア・ファイト?でも、お願いだから、ワン・モア・ファイトをUFCで・・・。ランディ・クートゥアとのUFC×PRIDEヘビー級王座統一戦が観たかった。ブロック・レスナーと当たっていたらどんな展開になっていたのだろうか。フランク・ミアとは?ドス・サントスとは?ケイン・ヴェラスケスとは?アリスター・オーフレイムとは?体躯の大きな相手とどう立ち向かっていったのか興味は尽きない。ホドリゴ・ノゲイラやミルコ、マーク・ハントとのリマッチも大いにありえただろう。ヒョードルがひとり加わるだけで誰とマッチメイクしても全てが夢のカード。UFCだって本当はヒョードルが欲しくて欲しくてたまらなかったに違いない。そしてファンである僕らもUFCでヒョードルを観たいに決まっている。だから最後の願いを言うだけ言ってみる。今のヒョードルの実力査定になろうカードを提案したい。お相手は、”ビッグカントリー”ロイ・ネルソン。ヴェウドゥムに敗れるもミルコにTKO勝ち、ドス・サントスやミアには敗れているがキャラ立ちで人気抜群のUFCヘビー級第2グループに位置するネルソンはヒョードルと同い年の1976年生まれ。観たいでしょ、観たくなったでしょ、ヒョードルvsネルソン。まだ正式に引退が発表されたわけでない。どんな話も覆ることはMMA界ではよくあること。だからまだヒョードルにお疲れさまとは言いたくない。”ヒョードル、UFC参戦!”の特報を待つ。ヒョードルとUFCに願いよ届け。
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