UFC144:EDGER vs HENDERSON
2012/2/26@さいたまスーパーアリーナ直前コラム話題が話題を呼んでいる。そんな感じだ。開催日が近づくにつれて私の身近なところで『UFC』に関する話題が増えていった。始めは格闘技好き者同士のいつもの会話で内輪的盛り上がりだったが、徐々に格闘技とは縁遠そうな“一般”の人からUFCについての声が聞こえてくるようになってきた。「クライアントがリングサイドチケットを買いたがっているのだけど取れる?」「なんかアメリカの格闘技の凄いのが来るんでしょ?」「友人の女の子が行きたがっているけど安いチケットがないそうなんだ、二枚取れない?」「○○さんはリングサイドに招待されたと自慢していたよ」「●●さんも行くそうだから会場で会ったら挨拶してね」「UFCという格闘技大会のプレパーティーがあるそうなんだけどよかったら行く?」(←行きたいに決まってる!(笑))発売当初は即完売とはいかず各プレイガイドで余裕持って売り出されていたチケットが、じわじわと売れ行きを伸ばしていき、直前となった今は高額券2種を残すのみ。軽い気持ちで観に行くには重い状況になってしまった。安価なチケット探しに奔走するファン予備軍。いい動きではないか。一般層を動かした大事なキーワードは“メジャー”だろう。MLB、NFL、NBA、NHLなど、アメリカを舞台に行われる人気スポーツはメジャーと称され、チャンピオンシップはイコール世界一とみなされる中、UFCは今や同じ三文字アルファベットでメジャーの仲間入りを果たした。UFCイコール世界一のMMAスポーツ。アメリカからやって来る新たなメジャースポーツという謳い文句は一般層の興味をそそりやすい。実際に本国アメリカでUFCは一般層に向けたプロモーション努力を重ねてきた。日本でPRIDEブランドが売却され、二派に分かれ、一方が消え、もう一方の母体も怪しくなり、地上波テレビ中継がなくなり、一般層に格闘技というものを届ける最大の手段を失った日本の状況を尻目に、UFCは順調に発展し世界マーケット進出を本格化させてきた。日本の格闘技業界が縮小しているからこそ、そこにチャンスあり。UFCにとってはビジネスフィールドの拡張、日本の格闘技ファンにとっては待望の来日。相思相愛の図式でUFCが日本に帰ってくる。とにかくポジティブな状況なのだ。ナンバーシリーズ、FOX、FX、FUEL TV、TUFと多彩なイベント展開を進めるUFCがZUFFA体制初の日本上陸に選んだのは本戦のナンバーシリーズ。メインには日本人にとって一番親しみある70kgライト級の頂点たるチャンピオンシップを用意してきた。これだけでUFCの本気度が分かるというもの。昨年大晦日には同じライト級の日本人最強決定戦が行われたばかり。日本と世界の差をこの目で確認してください、という意図がこのマッチメイクにあるならば心憎くも粋ではないか。タイトルを争うフランク・エドガーとベンソン・ヘンダーソンは共にノンストップ&クイックムーヴが信条の積極ファイター。熱戦は約束されたようなものだ。日本へのUFCお披露目には絶好のプレゼンテーションとなろう。
PRIDEファンにとっては嬉しいファミリー、ランペイジ・ジャクソンが帰ってくる。“しばくぞ”と日本語入りのTシャツが発表されている。修斗時代から幾度も来日してきたジェイク・シールズも久しぶりに日本の地を踏む。お馴染みファイターを迎えると同時に“ホーム”開催なだけあって、日本人メジャーリーガーが大挙参戦する。PRIDE、HERO'S、DREAM、戦極でも実現しなかった豪華日本人集結にUFCの特別さを感じることができる。岡見、秋山、日沖、五味、KID、水垣、福田、さらに光岡、田村・・・UFCに選ばれた日本人選手の基準を測る機会として観るのはいかがだろうか。格闘技ももはやプロ野球やサッカーと同様に世界に打って出ることがトッププレイヤーの証となった。当然ながらその場がUFCだ。エドガーとヘンダーソンの闘いを観て、青木や北岡がオクタゴンに立つ姿を思い馳せられるか。三崎がウェルター級戦線で競り合うシーンを思い描けられるか。高谷は、川尻は、今成は、所は?UFCを目指すことがファイターに求められる。そう断言したいほどUFCは揺るぎなき頂であり、私の心は完全にUFCに奪われているのである。まだ肝心なことを書いていなかった。UFCを一層楽しく観る方法とは何か。我々日本人が無理やりアメリカンのように試合中にヤンヤと騒ぎ続ける必要はない。じっくり観戦して要所要所でしっかり拍手すればよい。楽しむべくはミーハー心と共に。グッズを買って身に付け、オクタゴンを背景に記念写真を撮り、さらに、場内にいる来日ファイターに近付いてコミュニケーションすべし。写真、サインのみならず英会話にトライすべし。さらに、さらに、ファイターたちがまとまっている場所に乗り込んで密接コンタクトにトライすべし。今回のUFCチームの拠点はズバリ、六本木だ。これはアメリカの会場では通常の風景。会場ではファイターは一瞬で囲まれ黒山の人だかり、しかしフレンドリーに写真やサインに応じてくれる。特にホテルのロビーは狙い目。まるでワンダーランドのように次々と姿を現すファイターたちと夢のようなひとときを過ごせるはずだ。ただいま前日計量の会場にて、GSPのトークショー中。およそ1000人のファンが集まる盛況ぶり。当たり前のようにファンに無料でこんなイベントを公開するUFCの姿勢がまた素晴らしいのである。待ちに待った現在進行形のメジャーUFCを日本で体験できる喜びを思う存分噛み締めて欲しい。この二日間、私はUFCにどっぷり浸かるのです。
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